情報の8割は視覚から得ていると言われていますが、その視覚を閉じた状態でプレイするサッカーがあります。その名も「ブラインドサッカー」。音が出るボールを使い、フィールドプレイヤーはアイマスクを着けます。

見えていない状態で本当にサッカーが出来るのか、どうやってプレイするのか気になりませんか?
このブラインドサッカーに魅せられ、普段は東京に住みながら愛知県でも普及活動を行っている土屋さんにブラインドサッカーの魅力や活動について伺いました。

土屋由奈|プロフィール
1992年生まれ。愛知県出身。特定非営利活動法人日本ブラインドサッカー協会の大会連携事業部に所属している。2014年1月よりMixSense名古屋を結成した。

サッカー好きが出会ったブラインドサッカーの魅力

—アイマスクを着用してプレイするブラインドサッカーですが、他のサッカーとの違いを教えてください。

土屋:目隠しをしてしまうとボールが分からないので、ボールに鈴が入っているんですね。その音と周りとのコミュニケーションを頼りに試合をするんです。ゴールの位置も分からないので、ゴールの後ろにガイドと呼ばれる、声を出したり指示を出す人がいるところが違いますね。

—仲間と協力してプレイするのですね。声だけを頼りにサッカーをするということは、その声の出し方にも戦略があるんでしょうか?

土屋:たとえばコートを10分割にして、1にいるよって声をかけます。右左とかですと分かってしまうので。チーム内での決まりを作って、左の一番奥に行くことを「ゴール位置に行くよ!1に出すね!」という指示を出したりします。

—試合の際にはピッチの周りにフェンスが出されるそうですが、フェンスを使用した作戦もあるのでしょうか?

土屋:そうですね。フェンスがあることで、たどってトップに行ったり出来るんです。そういったフェンス際のせめぎ合いも見所です。

—そもそもどうしてブラインドサッカーに興味を持たれたのでしょうか?

土屋:元々サッカーが好きで、グランパスが好きだったんです。新潟県にあるサッカーの専門学校に行ったのですが、感覚的にもっと経験が必要で、勉強してからJリーグとかに行きたいなと思っていました。そんな時にたまたまTVで出会ったのがブラインドサッカーでした。一度見てみたいなと思っていたところ、たまたま新潟で開催されたブラインドサッカーの体験会がきっかけではまってしまいました。そのあと、東京まで観に行くようになりました。

—東京までも観に行ってしまった、ブラインドサッカーだからこその魅力はどんなところですか。

土屋:ブラインドサッカーは目隠しをして視覚障がい者と健常者が一緒にできるサッカーだというところが一番の醍醐味です。混ざり合ってプレイできるのは凄くいいことだなと思っています。

私のお父さんが障がい者で、障がいというものにすごく壁を感じていました。ブラインドサッカーと出会ってその壁がなくなったというか、障がいのある人と障がいのない人の壁がなくなった気がします。

両者が一緒にプレイできる楽しさと、見えない中で自分がどれだけ出来るか。あとコミュニケーションが凄く大切なので、そこを体験することでより他のサッカーにも生かせていけると思います。

—音を頼りにプレイするスポーツですが、観戦する側は声を出してはいけないのでしょうか?

土屋:そうですね。サッカー好きな人だとつい声が出てしまうので、我慢しないといけないところがあるかもしれません。試合中は静かに見ていただいて、シュートが決まったときに一緒に喜ぶというのが観戦の醍醐味です。

<観戦する際に知っておきたい、ブラインドサッカーのルールと特徴>


日本ブラインドサッカー協会公式サイトから引用

ブラインドサッカーはフットサル(5人制サッカー)を基に、視覚障がい者向けに考案されました。その名の通り、ゴールキーパー以外のフィールドプレイヤーがアイマスクを着用し、音が鳴るように作られたボールを用いて聴覚を頼りにプレイします。ガイドと呼ばれる役割の者が、相手側ゴールの裏側でゴールまでの距離や角度を声で伝えます。「音」だけでなく、チームメイトとの「声」でのコミュケーションも重要です。

視覚障がい者向けのスポーツは障がいの度合いが重いほど、動く範囲や安全性に配慮されることが多いですが、アイマスクを着けてプレイするブラインドサッカーは、視覚障がいの度合いに関係のないスポーツとなっています。

ゴールキーパーは晴眼者もしくは弱視者が務めます。視覚障がい者の方のためのスポーツでありながら、視覚障がいの無い人も一緒に出来るスポーツなのです。

「視覚障がい者と健常者が当たり前に混ざり合う社会を実現すること」をビジョンに掲げたブラインドサッカーは、2020年に東京で開催されるオリンピック・パラリンピックの公式種目となっています。


ブラインドサッカーとは?競技の魅力を選手が語る!

オリンピック・パラリンピックに先駆けて、9月より各クラブの拠点となる地域を周遊して開催される地域リーグがスタートします。名古屋でも10月6日に名古屋経済大学高蔵高校を会場にして、中日本リーグの第2節が開催されます。(*)

(*)【ブラインドサッカー中日本リーグ2019開催】
http://www.b-soccer.jp/12708/news/2019nakanihon.html

9月8日から地域リーグ戦が開幕

—9月からリーグ戦が開催されるとのことですが。

土屋:9月から12月まで、今年は山梨、長野、そして名古屋の3会場で開催されます。各都道府県4チームの総当たり戦で2巡行います。2月に開催されるクラブチーム選手権の切符をかけて戦います。

—10月6日に開催される名古屋の会場は名古屋経済大学高蔵高校ですが、そこが選ばれた理由があるのでしょうか?

土屋:フェンスを置けるところって限られているんです。天然芝ですと重みで潰れちゃう。人工芝で20×40取れる場所で探していました。キーパーの同級生がサッカー部の顧問をされていて、高蔵高校さんがいいよと教えていただいて。

—試合以外でもブラインドサッカーに触れられる場所はあるのでしょうか。

土屋:私たち主催ではあまりないのですが、イベントなどで呼ばれて子どもたちに体験していただいています。毎年学園祭でもブラインドサッカー体験会をしていますね。練習に来てもらうことも出来ます。8月24日にもNHKさんが愛知なごや支局でNスポというイベントを行い、そこでも体験していただきました!(*)

(*)【サッカー&ブラインドサッカー体験会開催!】
8/24(土)「Nスポ!2019 -NAGOYA(体験会)」
会場:名古屋市東区東桜1-13-3 NHK名古屋放送センタービル

公共交通機関:地下鉄東山線・名城線「栄」駅、または名鉄瀬戸線「栄町」駅下車 徒歩5分
時間:[1回目]13時30分~14時[2回目]15時20分~15時50分
https://www.sakaepark.co.jp/events/2410/

—練習中に取材させていただいていますが、この公園には芝がありませんね。芝のスペースとで違いがありますか?

土屋:音の違いやボールをドリブルする時も全然違うと思うので、理想はやはりフットサル場ですね。月に1回くらいはフットサル場を借りて芝で練習したりもしています。

—チームの方たち(愛知県のチームMixSense)はイベントがきっかけで集まったんでしょうか?

土屋:2013年7月6日に初めて開催されたブラインドサッカー体験会で、日本代表の選手、友達、知人にも声をかけ約40名の人に体験していただきました。その時に”名古屋でもやろう”ということで声をかけて、練習をやっていく度に人が集まってきました。

—人が人を呼んだんですね。

土屋:そう、人が人を呼んで集まってきました。

—愛知県ではこの名古屋以外にもチームはあるのでしょうか?

土屋:愛知県はここだけですね。岐阜では名古屋にいた子が頑張って作っています。今は子どもたちが多いので未来が楽しみです!

—子どもたちにも広がって、ブラインドサッカーをプレイする人が増えて行っているんですね。

土屋:そうですね。静岡も今年できて、来年大会に出る人が集まっています。東海地方にも増えてきたなと。

—どんどんプレイする方が増えて行って、これからが楽しみですね。最後に興味を持たれた方へのメッセージをお願いします。

土屋:自分で体験をして観戦をしてほしいです。そうすることで選手の凄さが分かると思います。楽しさと、見えない中で自分がどれだけ出来るか。またコミュニケーションがすごく大切なので、そこを体験することで他のサッカーや、日常生活にも生かせると私は思っています。

今回、山王公園で開催されたMixSense名古屋の練習会でインタビューを行いました。月に3回ほど練習会が開催されているそうなので、興味のある方はMixSense名古屋までお問い合わせください。

MixSense名古屋
【主な練習場所】山王公園(愛知県名古屋市中川区山王4丁目2−3)
交通:JR東海道本線「尾頭橋」駅より徒歩5分/名古屋鉄道名古屋本線「山王」駅より徒歩10分
スポーツフィールド植田(名古屋市天白区植田本町1丁目1315)、フットサルカフェAREA(北名古屋市二子松江26)になる場合があります。
mail:mixsense.n@gmail.com
twitter:@MixSensenagoya
web:mixsense-nagoya.spo-sta.com