(左:寺岡選手、右:廣中選手)

南アジア諸国で数千年の歴史を持つ、インド発祥スポーツのカバディ。以前BRATH MAGAZINEで取り上げたセパタクローと同様、アジア・オリンピック評議会(OCA)が主催する国際総合競技大会「アジア競技大会」の公式種目の一つです。2026年のアジア競技大会は愛知県での開催が決定しており、県や市はカバディを始めとするアジア競技の普及に努めています。

「A.K.Aichi」は愛知県唯一のカバディチームで、2018年9月の西日本カバディ選手権大会では優勝という輝かしい成績を残しました。A.K.Aichiを2017年に設立し、代表を務める寺岡選手は、日本カバディ協会愛知県支部支部長も務めています。廣中選手はカバディ歴わずか1年半ながら、愛知県指定強化選手(日本代表候補)にも選ばれた実績を持ちます。

おふたりがカバディにかける想いやカバディの魅力、今後どのように普及を進めていくのかを伺いました。

▼5月26日(日)に名城大学でカバディ体験会を行います
https://m.facebook.com/kabaddi.event/
参加希望の方は下記までご連絡ください。
email: kabaddi_aichi2018@yahoo.co.jp
Twitter: ‪@ak_aichi2018

カバディとは


日本カバディ協会公式HPから引用

カバディの起源は、紀元前にインドで行われていた狩猟にあるといわれています。当時は武器を持たずさまざまなテクニックを使って獣を囲み、声をかけながら捕らえていたそうです。素手で戦う技術、獣の襲撃から身を守る方法がスポーツとして成立し、カバディが生まれました。

カバディは簡単にいうと、鬼ごっことドッジボールを組み合わせたスポーツ。1チーム7人で編成され、チームごとに1人の攻撃(レイダー)と守備(アンティ)に分かれて戦います。レイダーはキャント(「カバディカバディ」と言い続けること)しながらアンティにタッチし、アンティに捕まらず自陣に戻れば得点できます。アンティがレイダーの帰還を阻止できれば、アンティに得点が入ります。レイダーとアンティを交互に繰り返し、試合終了時により多くの得点を稼いでいたチームが勝ちです。

寺岡 卓朗|プロフィール
1987年生まれ、石川県出身。2017年9月に愛知県唯一のカバディサークル「A.K.Aichi」を設立し、代表を務める。2018年10月に日本カバディ協会愛知県支部支部長に就任。

廣中 伸哉|プロフィール
1995年生まれ、愛知県出身。A.K.Aichi設立直後に加入し、カバディを始めた。競技歴わずか1年半ながら、2018年10月の全日本カバディ選手権大会の選考会で、指定強化選手(日本代表候補)に選ばれた。(愛知県からは4人選出)

カバディを始めたきっかけは漫画だった


ーカバディを始められたきっかけはなんですか?

廣中:1年半ほど前に「灼熱カバディ」という漫画を読んで、カバディに興味を持ちました。そこで愛知県のカバディチームを探すと、ちょうどその頃に寺岡が設立したA.K.Aichiを見つけたんです。練習に参加させてもらうと本当に面白くて、そこからカバディにのめり込みました。

寺岡:私も「灼熱カバディ」がきっかけです。スポーツは漫画から人気が出ることが多いですよね。たとえば、サッカーは「キャプテン翼」、バスケットボールは「スラムダンク」、アメリカンフットボールは「アイシールド21」というように。「灼熱カバディ」に影響されてカバディを始めた選手は、私の周りでも多いです。

私は高校ではラグビー部でしたが、大学以降はとくにスポーツに打ち込んではおりませんでした。もともと身体をぶつけることに抵抗はなく、久しぶりに体をぶつけ合うスポーツをやりたいと思っていたところ、カバディに出会い、すぐにハマってしまいました。

ーカバディ日本代表にはラグビー経験のある方がいるとお聞きしました。ラグビー経験者でカバディを始める人は多いのですか?

寺岡:多いですね。A.K.Aichiにはラグビー経験者が5人ほどいます。ラグビー経験があると体をぶつけることに抵抗がなく、カバディもやりやすいと思います。

また、ラグビーをやっていなくとも、カバディは大学生や社会人から始めやすいです。というのも、高校生チームが東京に1つしかないほどまだまだ発展途上なスポーツなので、経験の少なさによるデメリットが少ないんです。

責任ある攻撃、協力プレーが光る守備がカバディの魅力


ーカバディのプレーでどういうところが難しいと思いますか?

寺岡:私は小柄なので、一般的な動きでは相手をひるませられません。小柄な体をどう使えば相手をひるませられるか、いつも模索しています。

また、「自分がこう攻撃すると守備はこう動く」と頭の中で予測できても、自分の身体能力が追いつかず思うように動けないときがあります。

廣中:寺岡が言うように次の展開の予測は大事なのですが、私は予測しすぎて動けなくなることがあります。

ーそれはどういうことですか?

廣中:初心者のときは何も気にせずとにかく突っ込むのですが、ある程度経験を積むと、自分の動きによる相手の動きが予測できるようになります。そのせいで、「ここまで踏み出すと相手に回り込まれるかもしれない」と悪い展開を恐れて、次の一歩を踏み出せなくなってしまうんです。

ー相手の動きを予測する力は重要で、経験により身についていくもの。しかし、経験を積むほど予測しすぎて、相手に優位に動かれるのを恐れ、行動パターンが狭くなってしまうのですね。

寺岡:もっともっと経験を積んで上達すれば、その先にまた新しい境地があると思って、日々練習を頑張っています。

ーカバディの一番の魅力はなんですか?

寺岡:サッカーのように試合中に攻撃と守備が目まぐるしく変わるのではなく、時間を区切って攻撃と守備がはっきり分かれるので、そのときの自分の役割に集中してプレーできるところです。

攻撃は全員の期待を1人で背負うため責任感を持ってやらなければならず、守備は全員が一丸となって動かなければ得点できません。まさに「One for All, All for One」ですよね。

廣中:カバディは攻撃で失点もするし守備で得点もできるところが、特徴的で魅力の一つだと思います。

失点すると、ドッジボールのように仲間が1人コートから出なければいけなくなり、次のターンが不利になってしまいます。得点すると仲間が復帰できるのですが、得点するためにはリスクを取る動きが必要です。どれだけリスクを取って攻めるか、ひとりひとりが考えて動くところがカバディの面白さです。

2026年、愛知で行われるアジア競技大会に向けて普及活動も積極的に

2018年10月「名古屋まつり」にて、子供たちにカバディを体験してもらう様子


ー2026年に愛知にてアジア競技大会が開催されますが、どのようなカバディの普及活動を行っていますか?

寺岡:2018年は県や市から要請を受けて、何度かカバディ体験会を行っています。カバディは道具が何もいらないので、ちょっとルール説明をするだけですぐに試合形式のゲームができるので、多くの体験参加の方に楽しんで頂けます。

2018年10月から2019年3月にかけては、江南市の小学生に向けて全8回の子どもカバディ教室を開きました。最初は引っ込み思案だった女の子も、「私が攻撃したい」と積極的に動くようになり、カバディは誰でも楽しめることを再確認できましたね。

名城大学で行われたカバディ体験会


ー今後、予定しているイベントはありますか?

寺岡:名城大学で第2回カバディ体験会が5月26日(日)に行われます。名城大学からお声かけいただいて開催した第1回が好評で、学生からの要望で第2回開催が決定したんです。

ーどういった経緯で名城大学からお声かけいただいたのですか?

寺岡:以前、名城大学でアイデアソンを行うワークショップがありました。私がプレゼンター役として投げかけた課題「アジア競技大会特有競技の普及はどう行えばいいか」に対して、学生が話し合って解決案を出していくイベントでした。そこで名城大学の方や学生がカバディに興味を持ってくれ、カバディ体験会が実現したんです。

また、同じイベントに出席していた私立高校の先生にもカバディに興味を持っていただき、体育の授業で高校生にカバディを教えることになりました。

ー名城大学でのアイデアソンがきっかけで普及活動の輪が広まったのですね。

名城大学でのアイデアソン。寺岡選手がプレゼンターを務めました。

どんなスポーツをやっていても、カバディで輝ける

A.K.Aichiは2018年西日本カバディ選手権大会で優勝


ーA.K.Aichiの目標はなんですか?

寺岡:2026年アジア競技大会で愛知から日本代表を出すことです。そのために、A.K.Aichiの練習で初心者を歓迎するベースをつくっているほか、カバディの東海大会をつくりたいと考えています。

カバディの大会は関東か西日本でしかありません。会場となる体育館を探したり、ほかの組織から協力を得ようと外回りをしたり、現在いろいろと奮闘中です。

ーカバディを今から始めても、2026年のアジア競技大会に間に合いますか?

寺岡:本気で取り組めば間に合うと思いますよ。

カバディの人口は非常に少なく、最近増えて400人になったくらいです。2017年に私がA.K.Aichiを設立したときは、関東以外は2~3チームしかなく、大学チームは関東以外は鹿児島の1チームだけでした。

2018年からは「灼熱カバディ」などの影響で続々とチームやプレーヤーが増えました。廣中が競技歴1年半ほどで日本代表候補に選ばれたように、誰にでもチャンスはあると思います。

廣中:学生は特にそのチャンスが大きいので、学生がカバディを始めやすい環境がもっと必要だと思います。私自身も日本代表入りを目指していますが、新しい世代がカバディを気軽にできるような愛知の環境を整えていきたいと思っています。

ーカバディに興味のある方、知らない方に向けてメッセージをお願いします。

寺岡:まずは名城大学で5月26日(日)に行う体験会に来てください。一度やってみないとカバディの面白さは伝わらないと思います。「カバディカバディ」と言いながら変な動きをするスポーツなどと言われることもありますが、実際は熱いスポーツということを知ってほしいです。

廣中:カバディはルールがわかりやすいので、スポーツをあまりやらない人でもすぐにプレーできます。もちろん、スポーツ好きな人にもカバディはきっと面白いと感じてもらえるでしょう。いろいろなスポーツの動きがカバディには使えるんです。

寺岡:反復横跳びに近い動きもカバディには必要なので、ラグビーのタックルの動きだけでなく、バドミントンの切り返しの動きなども生きます。また、バスケットボール選手に多い手足が長いという特徴も有利に働きます。

いろいろなスポーツの特徴が輝かせられるところも、カバディの魅力の一つです。どんなスポーツをやっていたとしても、カバディであればきっと楽しめると思いますよ。