公営競技と言って、日本には国が認めた賭け事が4つあります。オートレース、競馬、競艇、そして競輪です。これらは平成3年頃をピークに、どこも財政難を目の当たりにしています。なぜなら、現代は音楽や、映像作品、ゲームなど様々な娯楽を掌サイズの液晶で手軽に楽しむことが出来るからです。

そしてかなり古いデータではありますが、昭和53年に取られた公営競技に関する世論調査で「ギャンブルは良くないこと」と思っている人が多く、その世代に育てられた若者はどんどん自身の娯楽から「賭け事」の選択肢を消しているのではないかと思います。しかし、中には自身の人生を誰かの娯楽に、「賭けの対象」となることに、捧げている選手達がいます。今回は、その中でも競輪界で長きに渡り活躍してきた愛知県一宮市出身の一丸安貴選手を取材し、競輪の魅力を語ってもらいました。

一丸選手と競輪の出会い

競輪を見る人はいても、競技者として関わる人が少ないですよね。では一丸選手はどのようにして、「競輪選手」を志すようになったのでしょうか。きっかけは競輪好きなお父様に競輪場に連れて行って貰ったことです。そこで、競輪選手のレースの賞金の額の高さに驚き、夢を感じたそうです。元々、運動神経は良かった一丸選手は自転車との適性も最初から良く、そこから「将来は競輪の選手になろう」と志すようになり、競輪学校への入学を決めたそうです。

投げ出したくなる瞬間・競輪選手としての悩み


野球やサッカーなどと違って、観客の「賭け」の対象になる競輪選手。キツいと感じることは「練習」ではなく、「本番」なのだと一丸選手は語っています。むしろ練習は、はやくなるためのPDCAサイクルにやりがいを感じ楽しいそうです。しかし、本番はそういった自分なりのPDCAサイクルを繰り返し行い積み上げて来たライバル達と、観客からの重たい「プレッシャー」を背負って、命を賭けて走ります。

そうそう勝てるものではないけれど、「期待」をされているのです。しかも、その「期待」は観客の「掛け金」という目に見える形に替えられています。相当なプレッシャーを毎回毎回背中に背負い、レース場を命懸けで駆け抜ける。毎回毎回投げ出したくなる程のプレッシャーだそうです。

これからの競輪界


娯楽が増え、さらに現代においてあまり印象が良くないとされている賭け事である競輪界にどのような展開があれば盛り上がりそうか一丸選手のご意見を聞いてみました。

『競輪は公営競技の中で最もとっつきにくいです。しかしそれは、競輪が最も奥が深くて、最も「知る」と面白いからなのです。それは競輪というのは「推理ゲーム」だからです。9人で走る競輪。地区ごとにライン形成をし、それに対して観客も選手もそのレースをシュミレーションします。これは競馬や競艇にもあることなのですが、競輪はそこに「人間同士だからこそ生まれる感情や背景」も考慮しなければならず、圧倒的に考える要素が他の公営競技よりも多いため、観客を虜にするんです。また、レースの走り方に性格や生き方も自ずと感じられ、またそこに観客の胸をアツくさせるんだと思います。こんなにも魅力的な商品力を選手達は保ち続けているから、もっともっと世に競輪の素晴らしさが広まることを望んでいます。』

競輪をもっと身近に

現状公営競技は娯楽の多様化などにより、運営が厳しくなっています。けれど、そんな状況下でも一丸選手は生き生きと強く誇りを持って競輪に向き合っていらっしゃいました。

競輪界は今、新たな人々も感動させられるよう、もっと身近に感じて貰えるよう、ミッドナイト競輪といった21時〜23時過ぎにオンライン限定で楽しめるサービスを始めているようです。

この記事をきっかけに競輪に興味を持ってくださる方々が増えることを、一丸選手も、私も切に願っています。