(右:太田選手、左:本林選手)

アジア競技大会は、アジア・オリンピック評議会(OCA)が主催するアジアの国々のための国際総合競技大会。「アジア版オリンピック」ともいわれ、通常のオリンピック競技に加え、カバディや空手道などのアジアならではの競技も種目に含まれています。

2026年のアジア競技大会は、愛知県名古屋市で開催されることが決定しました。愛知県はアジア競技大会に向けてセパタクローの普及に力を入れており、体験会の開催などを進めています。また、2019年4月には愛知県セパタクロー協会が設立されました。

東海地方で唯一のセパタクロー団体が愛知セパタクロークラブです。太田選手はチームのキャプテンとして、本林選手は先日立ち上げた愛知県セパタクロー協会の会長として、積極的にセパタクローの普及活動を行っています。おふたりが考えるセパタクローの魅力や、どのような活動を行っているのかを伺いました。

▼愛知県セパタクロー協会の普及活動の詳細はこちら
http://aichi-sepak-assoc.strikingly.com/
▼愛知セパタクロークラブの普及活動の詳細はこちら
https://twitter.com/aichi_sepak 
(※5月19日(土) 13:00~、王子体育館にて体験会が行われます)

セパタクローとは


「日本セパタクロー協会」公式HPから引用)

「セパタクロー」は造語で、「セパ」はマレー語で「蹴る」、「タクロー」はタイ語で「(藤で編んだ)ボール」の意味。よく「足を使ったバレーボール」といわれ、腕や手を使ってはいけないのでサッカーとも似たスポーツです。サーバー、トサー、アタッカーの3人で1チームを組み、バドミントンと同じ広さのコートと同じ高さ(女子は10cm低い)のネットで行われます。サーブ・アタックしたボールを相手チームが取れなかったとき、相手チームがフォルトしたときに得点が入ります。

太田 雅久|プロフィール
1988年生まれ、北海道出身。キャプテンを務める。大会に出るメンバーをまとめたり、練習をうまく回したりするのがメインの仕事。ポジションはサーバー。

本林 健太|プロフィール
1983年生まれ、埼玉県出身。体験会・デモンストレーションの取りまとめなどセパタクローの普及活動を積極的に行っており、2019年4月から発足した愛知県セパタクロー協会の会長に就任。ポジションはトサー。

セパタクローは選手がお互いに高めあう、繋がりが強いスポーツ


中原:セパタクローとの出会いについて教えてください。

太田:セパタクローの存在は漫画「キャプテン翼 ワールドユース編」で知りました。タイと日本のチームが戦う場面があり、タイのチームにはセパタクローの技を繰り出す人物がいました。私は中学でサッカーをやっていたため、「サッカーと似たような競技だから始めようかな」と軽い気持ちから、大学に入学してセパタクローサークルに入りました。

最初はセパタクローに注力していませんでしたが、初めてセパタクローの大会に出たときに日本代表選手のプレーを間近で見て魅了されました。アタックの高さやスピードに感動して、自分もこのようなプレーをしたいと思い、セパタクローにのめり込みました。

本林:私もセパタクローに出会ったのは大学からです。もともとやっていたサッカーを続けるか、個人的に好きだったバレーボールをやるか迷っていたとき、サッカーとバレーの両方の要素を持つセパタクローを知りました。実際に体験してみると非常に面白くて、セパタクローを始めました。

初めての大会では初戦の相手が日本代表選手で、圧巻のプレーを見せられて手も足も出ず、悔しさを感じてセパタクロー熱が高まりました。また、他のチームに同世代のいい選手がたくさんいたため、ライバルとして切磋琢磨できたことも夢中になった理由の一つです。

2017年の第24回全日本セパタクローオープン選手権大会Men’s divisionで優勝


中原:セパタクローのどのようなところに魅力を感じますか?

太田:大学生や社会人から始める人が多く、スタートラインがほぼ同じところです。大会では相手が自分と同等の強さであることが多く、別の大会で同じ人と再び戦うとお互いの成長を感じます。相手選手がうまくなっていたら、自分ももっと頑張ろうと思うので、お互いに高め合うことができます。

本林:私は自然と仲間意識が強くなるところだと思います。セパタクローは競技人口が少なく、大会では全国から選手が集まるので、各地に仲間ができます。私は埼玉、札幌、名古屋と引っ越しているのですが、どこに行っても仲間がいたので心細くなかったですね。引っ越した翌日に練習に連れて行かれることもありました(笑)。

中原:サッカーや野球などと比べると、コミュニティが狭いからこそ繋がりが強いのですね。

本林:そうですね。お互い変なスポーツをやっている親近感もあります。選手同士の繋がりが強いもう一つの要因として、セパタクローが1チーム3人であることも大きいと思います。3人という人数は、日常生活においても油断すると仲の良い2人と1人に分かれがちです。その中でも3人でのコミュニケーションを大事にして、同じ目標に向かって進む経験を普段から繰り返しているからこそ、強い一体感が生まれるのではないかと思います。

また、セパタクローはアクロバティックな動きに注目されがちですが、私が最も楽しいと感じるのは外からは見えづらい細かい駆け引きです。たとえば、構えた方向とは違う方向にアタックを決めるような細かいフェイントが数多く行われているんです。スピード感のある試合中での駆け引きは難しいですが、だからこそ相手を上回れたときの快感は大きいです。

セパタクローの経験が自分を成長させた


中原:セパタクローを通して人間的に成長できたと感じたことはありますか?

太田:大学時代、約6人と非常にメンバーが少なかったセパタクローサークルを部活に昇格させました。その中で、どうすれば自分たちをアピールできるのか、メンバーで意見を出し合い考えて行動した経験は、自分を成長させたと思います。私たちの卒業後も後輩がしっかり引き継いでくれたので、現在は当時より大きな組織となって存続しています。

中原:サークルから部活にするために、どのような活動を行ったのですか?

太田:たとえば、練習一辺倒にならないよう合宿などのレクリエーション的活動も取り入れました。このことは後輩が提案してくれました。

当時は自分の実力不足に焦り、「もっとたくさん練習しなくては」と、周りが見えなくなってしまったときがありました。というのも、私たちの大学は他チームの場所から遠く頻繁に試合を組めなかったので、久しぶりに試合をすると、相手との実力の差に悔しい思いをすることがよくありました。

そんなとき、後輩が「楽しいイベントをもっとやりましょう」と提案してくれて、それを実行してみると次第に人が集まってきました。周りの意見に耳を傾けることで、より良いチームづくりができるとわかったのも学びの一つでした。

中原:本林さんは、セパタクローに関わって自分が成長したと思うときはありましたか?

本林:学生時代に、自分が主体となって「セパタクロー埼玉オープン」という全国大会をつくった経験が大きかったですね。

中原:全国大会を立ち上げたのですか?すごいですね……。

本林:昔は今ほど大会数が多くなく、勝ち上がれる人でなければ試合にたくさん出られなかったので、負けても多くの試合に出場できるような大会をつくろうと思ったんです。たくさんの人の賛同を得て、その後10年続くことになる大会ができました。多くの人の意見をまとめながら1から大会を作り上げるのは大変でしたが、コミュニティが狭いセパタクローだからこそ、今までに無い新しい企画がスムーズに受け入れられたと思います。ここで培った課題の発見と解決の考え方は、今の私にも生きています。

2026年アジア競技大会に向けて、普及活動にも力を入れる

2018年10月に行われた「名古屋まつり」での体験会の様子


中原:2026年に名古屋にてアジア競技大会が開催されますが、どのような普及活動を行っていますか?

本林:2018年はアジア競技大会推進室の方から声を掛けていただき、久屋大通公園などでセパタクローのデモンストレーションと体験会を3回行いました。小学生を中心に計100人近くの方々にセパタクローを体験してもらいました。

愛知セパタクロークラブの中でも体験会を3回行いました。これをきっかけにクラブに入ってくれた方もいます。

中原:今後はどのような普及活動を行いますか?

本林:愛知セパタクロークラブでは直近だと5月19日(日)に体験会を行う予定です。体験会では、ボールの蹴り方からアタックやレシーブのやり方など、すべてのプレーを教われます。上達が早ければ、最初の3時間でアタックを打てるようになったり、セパタクローの試合を体験したりできます。セパタクローは難しそうに見えますが、やってみると意外と早く覚えられて小学生でも試合ができるんですよ。

愛知県セパタクロー協会としては、学生チームの発足支援を構想しています。また、県や市の方もアジア大会に向けて水面下で動いて下さっているので、そちらと協力しての広報活動も予定しています。将来的には県内で全国大会を開催することも視野に入れています。一流のプレーを生で観戦できる機会になるはずですので、楽しみにしてもらいたいと思っています。

全日本選手権出場、メダル獲得を目指して


中原:どんな目標があり、達成するためにどのようなことに取り組んでいますか?

太田:クラブとしてはこれまで大会で好成績を残してきましたが、私自身が参加した大会ではメダルを獲得したことがありません。個人的な目標として、全国規模の大会でのメダル獲得を目指しています。

今年は平日も練習することを計画中なのですが、現状は土日だけで平日に体を動かす機会が少ないので、ジムに行くなど体づくりに取り組みたいです。技術面だけでなく体力面も鍛えようと思っています。

本林:当面は年末の全日本選手権に出場することが目標です。全日本選手権は今まで誰でも出場できたのですが、今年から大会の形式が変わって、その年に開催された大会で優秀な成績を収めたチームしか出場できなくなったのです。

私自身は練習量を増やすことは難しいので、イメージトレーニングや動画の見直し・分析によって練習量をカバーしたいと思っています。

中原:セパタクローに興味のある方、知らない方に向けてメッセージをお願いします。

太田:セパタクローは花形とされるアタックだけでなく、サーブやトスなどの繊細なプレーにも醍醐味があります。春から新しいことに挑戦したい人に、ぜひセパタクローをおすすめしたいです。

本林:とにかくセパタクローを一度やってみてほしいです。見ているだけだと難しそうに見えますが、実際にプレーすることでハードルは低くなると思います。体験会だけでなくいつでもウェルカムですので、ぜひ愛知セパタクロークラブに遊びに来てください。