中学・高校・大学における、部活やサークルでのスポーツ経験者は少なくありません。そこから、社会人になっても部活を続ける人はどのくらいいるのでしょうか。

文部科学省の「体力・スポーツに関する世論調査(2013年1月実施)」によると、週3日以上運動する人は、20~40代ではたったの15%前後。ところが50代になると約30%になります。多くの人が定年を迎える60代では約42%、70歳以上では約53%にまで増えます。

なぜ年齢が低いほど運動をしないのでしょうか。同調査で、「この1年間に運動やスポーツをしたか」という問いに「しなかった」と答えた人に対し、その理由を聞きました。その結果、「仕事(家事・育児)が忙しくて時間がないから」と答えた人の割合が約51%と最も高かったのです。

すなわち、働き盛りの20~40代の社会人は、仕事が忙しいためスポーツに割く時間がないと考えられます。

そんな中でも、部活動としてスポーツを続ける人がいます。東海興業株式会社の女子バドミントン部です。彼女たちは、仕事が終わるとすぐに大府市民体育館へと向かい、練習を始めます。

なぜ仕事と部活を両立することができるのでしょうか。主将の杉山利奈さんに伺いました。

 

杉山 利奈|プロフィール
1992年生まれ、鹿児島県出身。東海興業株式会社では情報システム科に所属。主に会社内のPCのメンテナンス業務を行っている。小学生のときに、全国小学校バドミントン大会シングルスで全国3位に。この成績が評価され、中学・高校は宮城県のバドミントン強豪校に進学。全国中学校バドミントン選手権大会ダブルス・団体優勝、アジアユースU17ダブルス優勝などの成績を残した。

チームの目標はリーグ昇格


中原:まず、東海興業女子バドミントン部では、普段どのような練習をされていますか?

杉山:12月から翌年3月までの時期は大会がないので、基本的にはランニングなどの基礎トレーニングが中心です。5月以降は大会が始まるので、基礎トレーニングに加えて羽打ちやゲーム練習なども増えてきます。

中原:東海興業女子バドミントン部にとって、1年間で最も大事な大会は何ですか?

杉山:「BADMINTON S/J LEAGUE(※)」です。このリーグは、レベルの高い順から「S/Jリーグ」「S/JリーグⅡ」の2部で構成されています。さらにその下には「チャレンジリーグ」があります。

一番上のS/Jリーグにはトップクラスの選手が集まり、オリンピック選手などがプレーしています。私たちが所属しているのは2番めのS/JリーグⅡで、優勝したらS/Jリーグの最下位と入れ替え戦を行います。

中原:2018年度の結果はどうでしたか?

杉山:8チーム中6位でした。過去最高成績は、2016年のときの4位です。まだS/JリーグⅡで優勝したことがないので、優勝して、入れ替え戦に勝利し、S/Jリーグに昇格することが私たちの目標です。

(※)BADMINTON S/J LEAGUE:バドミントンのトップチームによる、国内最高峰のリーグ戦。

部活をやるのは、自分がどこまで通用するのか知りたいから


中原:仕事も大変な中、なぜ社会人になってもバドミントンを続けようと思ったのですか?

杉山:バドミントンが純粋に好きだからです。試合に勝ったり負けたりするたびに、「もっとチャレンジして強くなりたい」という気持ちが芽生えるんです。7歳のときにバドミントンを始めて、中学・高校に上がっても、ずっとその思いで続けてきました。

そして社会人になってからは、「自分がどこまで通用するのか知りたい」と思うようになり、バドミントン部に入ることを決めました。入部するのに迷いはほとんどなかったですね。

中原:バドミントン主体の人生を送ってきたんですね。杉山さんにとって、バドミントンのどんなところが好きですか?

杉山:勝ち負けに関わらず、充実感を得られて楽しいところです。勝ったら単純に嬉しいですし、負けたら負けたで「その人には次どうしたら勝てるのか」を考え、練習に活かすようにしています。

中原:東海興業さんの中でも、部活をやっている人はそれほど多くないそうですね。やはり、仕事と部活を両立するのは大変ですか?

杉山:もちろん大変です。特に、試合の翌日に出社するときは身体がきつくて…(笑)。でも、本当にバドミントンが好きだから、部活もやりたい!という気持ちが大きいんですよ。

「礼儀」「思いやり」「信頼」…社会人スポーツで得られたこと


中原:バドミントンを続けていて良かったと思うのは、どんなときですか?

杉山:試合に勝ったときですね。それから、私は小学生のときからバドミントンを続けているので、以前お世話になった人に試合会場で会うことがあります。そういった人たちに応援してもらえたり、「強くなったね」と声をかけてもらえたりしたときは、続けていて良かったなと思います。あとは、バドミントンの繋がりで友達が増えるときもそう感じますね。

中原:これから、S/JリーグⅡでの優勝やその先を目指すためには、さらに強くならないといけませんよね。主将として、部全体をどのようにしていきたいですか?

杉山:「強いチーム」は「なんでも言い合えるチーム」だと私は思っています。私たちのチームはとても仲が良いのですが、だからこそ、お互いに思ったことをあまり率直に言えません。社会人の部活なので、どうしてもある程度の年齢差が生まれることも原因のひとつだと思います。

しかし、部活というものは勝負事です。だから、年齢差などは関係なく、思ったことは伝えて、お互いがお互いを高め合えるチームにしたいと思っています。

中原:ありがとうございます。社会人になって部活やスポーツをやるか迷っている人たちに向けて、メッセージをお願いします。

杉山:礼儀、我慢強さ、相手を思いやる気持ち、仲間を信頼するなど、スポーツで学んだことは社会でも必ず役に立ちます。また、スポーツを通してたくさんの出会いがあります。そのようなことを実感しながら、ぜひスポーツの輪を広げていってほしいです。